週刊ポスト 「孤独の研究 中森明菜とその時代 (第7回)」

週刊ポスト(2013.9.13号)『孤独の研究 中森明菜とその時代 (第7回)』

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●写真家・清水清太郎氏へのインタビュー
コンサートの開園時間はとうに過ぎ、姿を見せない明菜に対して、会場の客の期待が怒りに変わろうかというその瞬間、明菜が舞台袖の仕切りを蹴り上げてステージへ躍り出る。誰に指図されたわけでもなく、すべて明菜の計算に基づいた演出だった。(客の)沸点がどこにあるのかということを明菜は知っていた。彼女は「瞬間」を狙えるタレントだった。

アルバム「ANNIVERSARY」のジャケット撮影で訪れたバハマでのこと。通りの向こうから歩いてきた黒人警官に、清水氏は明菜と並べて撮影したいという衝動に駆られた。その時、清水氏の胸の内を盗み見たかのように明菜が小走りにその黒人警官に近づき清水氏にアイコンタクトを送る。この瞬間しかない、と、清水氏は構図もピントもほとんど確認することなくシャッターを切った。その写真が結局「ANNIVERSARY」のジャケットを飾ることになる。

●ワーナーパイオニアの制作ディレクター・島田雄三氏へのインタビュー
「スローモーション」の後、どんな楽曲を用意するべきか悩んでいた時、その時たまたま読んでいた今東光の「悪太郎」のイメージが当時のヤンキー文化と重なり、「そんな時代の気分を感じさせるような楽曲を明菜に歌わせてみたかった」と。

膨大な楽曲のストックの中から出来上がったのが「少女A」だった。ヒットを確信した島田氏は「少女A」の仮歌を明菜に聴かせた。曲を聴きながら険しくなっていく明菜の表情。「やだよ、こんなの。」「なぜ、こんな歌を私に歌わせるのか理解できない。」
その後、「歌え!」「歌わない!」の口論の末、なんとかレコーディングまでこぎつけた。
レコーディング中も明菜の憮然とした態度は変わらず、何度もダメ出しをしてしまうと明菜がブチギレて帰ってしまうと思い、テスト段階からすべて録音できるときにすべて録っておいたとのこと。
そうして出来上がった「少女A」には、明菜の怒りと虚無が滲み出ていた。
島田の読みどおり、「少女A」は明菜の代表曲となるヒットを記録。この曲を足がかりに「ザ・ベストテン」や様々な賞レースで新人賞を受賞した。

次号(2013.9.20・27号)は、9月9日(月)発売です!




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